2019年時点で、日本における成人のクレジットカード保有枚数は1人あたり2.7枚*となっています。「クレジットカードを2~3枚持っている」という人はもはや少なくないと言えるでしょう。
現金からキャッシュレスへ時代が変化しつつある昨今、「まずはクレジットカードから始めてみよう」と考える方も多いでしょう。そんな中で、「うまく活用しきれていない気がする」「よくわからないから手を出せないでいる」という人もまだまだ多いのではないでしょうか。ここでは、そんなキャッシュレス生活への第一歩を踏み出そうというみなさんに向けて、クレジットカードの基礎知識をわかりやすく解説します。
クレジットカードの仕組みからメリット・デメリット、失敗しない選び方、おすすめのクレジットカードまで幅広く解説していきます。ぜひご覧ください。
クレジットカードって何?
クレジットカードとは、後払いができるカードのことです。コンビニやスーパーでのショッピングのみならず、オンラインショッピング、水道や光熱費等の公共料金、税金など幅広いシーンで支払いに利用できます。現金を持っていなくても買い物ができたり、支払いをするたびにポイントが貯まったり、海外旅行保険が付帯したりと便利でお得なカードです。
クレジットカードと似たものに、デビットカードやプリペイドカードなどがあります。これらには明確な違いがありますので、まずはその点を以下で確認していきましょう。
クレジットカードの支払方法
クレジットカードには、状況に応じて複数の支払方法が用意されています。支払方法としては主に「1回払い」、「2回払い」、「ボーナス一括払い」、「ボーナス2回払い」、「分割払い」、「リボ払い」があります。
・1回払い
1回払いは締め日までの利用料金を一括して支払う方法です。
・2回払い
2回払いは締め日までの利用料金を翌月と翌々月に分けて半額ずつ支払う方法です。
・ボーナス一括払い
ボーナス一括払いは、年2回(夏・冬)のボーナス時に、一括で支払う方法です。
・ボーナス2回払い
ボーナス2回払いは、年2回(夏・冬)のボーナス時に、半額ずつ支払う方法です。
・分割払い
分割払いは、分割回数に応じて利用料金を均等に分割し、毎月支払う方法です。
・リボ払い
リボ払いは、毎月の支払額を一定額に設定し、支払っていく方法です。リボ払いは支払額が一定なので家計の管理がしやすい点はメリットですが、支払えなかった分は残高として残ることになります。仮に、大きなお買物で支払残高が増えてしまうと、支払期間が延び、同時に手数料も増えていきます。そのため、リボ払いを利用する際は、計画的に利用しましょう。
このようにクレジットカードには、豊富な支払方法が用意されています。現金だと一括払いが基本ですが、クレジットカードを持てば、大きなお買物は分割払いやボーナス一括払いを利用することができ、状況に合った支払方法が選択できます。
国際ブランドって何?代表的な4つの国際ブランドについて
VISAやMastercardといった名称を聞いたことはありませんか?もしかしたら、CM等でこうした国際ブランドの名前を耳にしたことがあるかもしれません。
国際ブランドとは、世界中で利用できる決済システムを提供するブランドのこと。国際ブランドがカードに付いている場合、そのブランドに加盟している店舗なら世界中どこでもカード決済が可能です。
例えば、VISAのマークが付いているカードを持っていれば、VISA加盟店ならどこでも支払いができます。
国際ブランドは複数ありますが、なかでも「American Express」、「VISA」、「Mastercard」、「JCB」については、よく耳にしたことがあるのではないでしょうか?これらの国際ブランドは、世界的な知名度と確かなブランド力を持っています。それでは、上記にあげた4つの国際ブランドについて、THE NILSON REPORTが2016年に発表した2015年のデータとともに詳しく説明していきます。
●American Express
American Expressは、世界シェア4位の国際ブランドです。VISAやMastercardは世界中に決済システムを提供しているものの、自社カードは発行しておらず、提携カードのみです。
●VISA
VISAは知名度・シェアともに世界NO.1の国際ブランドです。世界で利用されたクレジットカード売上で、VISAは全体の56%を占めており、堂々の世界1位の売上を誇っています。日本にも海外にも加盟店が多数あります。
●Mastercard
MastercardはVISAに次ぐ世界シェア2位の国際ブランドです。上記と同じ2015年のデータでは、売上シェアで26%です。
●JCB
JCBは日本発祥の国際ブランドです。自社カードを発行しており、日本人向けのサービスが充実している点が特徴の1つです。例えば、JCB会員向けに用意された「JCBプラザ」は、海外に設置された日本語対応の窓口で、海外へ渡航した時には、日本語で観光案内やレストランの予約を受け付けてくれます。
クレジットカードのメリットは?-お得に使いこなす方法-
クレジットカードのメリットを8つ挙げてみました。意外と知らないものもあるかもしれません。さっそく確認していきましょう。
利用金額に応じたポイントが貯まる
クレジットカードのメリットと言えば、真っ先に挙げられるのが「ポイントが貯まる」という点です。一般的なクレジットカードでは、利用金額の0.5%~1.0%程度のポイント還元が受けられます。
ポイント還元率についての考え方ですが、例えばポイント1.0%還元のクレジットカードを月10万円使えば、1か月で1,000円分、1年で1万2,000円分のポイントが貯まります。普段の食費や光熱費、家賃などを現金払いからクレジットカード払いにするだけで、かなりのポイントを貯めることも可能です。
貯まったポイントはそのカードによって使い道が異なりますが、多くの場合、商品と交換したり、ほかのポイントやマイルに交換したりすることができます。ポイントを使うのが面倒という人には、例えばREXカードのように貯めたポイントをカードの請求金額に充当できるものもあります。
会員限定の優待が受けられる
クレジットカードには、カード会員だけが受けられる優待特典がついています。カードにより優待特典はさまざまですが、例えば以下のように特定の施設やサービスで割引が受けられることなどが挙げられます。
カード会員だけが受けられる主な優待特典
優待内容 | |
レジャー関連 |
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生活関連 |
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優待特典は、「クレジットカードを提示するだけで受けられる優待」と「クレジットカード支払いをして受けられる優待」があります。そのため、どのような優待特典があるのかを事前に把握しておくとよいでしょう。
また、クレジットカードを選ぶ際は、普段よく使うお店で優待があるかをチェックしておくとよりお得になります。ゴールドカードやプラチナカードなどの上位カードになると、空港ラウンジや専用デスクの無料での利用、レストラン・旅行サービスの割引など、さらに優待の幅が広がります。
クレジットカードのデメリットは?-使う上で注意すること-
ここまでクレジットカードのメリットを確認してきましたが、もちろんデメリットもあります。クレジットカードのデメリットについては知らないと不安かもしれませんが、理解してしまえば回避できるものがほとんどです。さっそく確認していきましょう。
年会費がかかるカードがある
クレジットカードには年会費が有料のものと無料のものがあります。それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめました。
年会費有料カードと無料カードのメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
年会費が有料のカード |
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年会費が無料のカード |
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年会費有料のカードは保険が充実していたり、優待が充実していたり、ポイント還元率が優遇されていたり、ステータス性が高かったりといったメリットがあるものの、毎年年会費を支払うことになるため気軽に持つことはできません。
一方、年会費無料のカードは保有するのに一切お金がかからないので、気軽に持てるのがメリットです。ただし、保険や優待は充実していないことが多いので、目的別に「このカードはポイント還元率重視」「このカードは海外旅行傷害保険重視」など複数のカードを持っておくのもオススメです。
限度額の上限に達すると一時的にカードが使えなくなる
クレジットカードには利用限度額が設定されていて、上限に達すると一時的にカードが使えなくなります。指定の引き落とし日に利用額が引き落とされれば、またカードを使えるようになるのですが、気づかないうちに上限に達していてカードが使えなくなるといったことが起こるのはデメリットと言えるでしょう。
このデメリットを回避する方法は3つあります。
まず1つ目は、カード会社に連絡して指定の口座に入金するという方法です。カード会社で確認が取れ次第、カードが使えるようになります。
2つ目は限度額アップの申請をするというもの。「大きな買い物をする予定があり、一時的に限度額を上げたい」という場合は一時的な限度額アップを、「日ごろから限度額が足りない」という場合は通常の限度額アップを申請しましょう。ただし限度額アップの申請をすると、多くの場合、審査が行われます。日頃の利用状況が悪いとカードを解約されることもあり得るので注意が必要です。
3つ目は新たに別のカードを作り、複数枚のカードを使い分けるという方法です。「海外旅行の予定があるから限度額を上げたい」というケースでは、複数枚のカードを持っておけば限度額アップの申請をしなくても間に合うこともあります。
カードには有効期限がある
カードは一度発行されればずっと使えるというわけではなく、有効期限があります。基本的には引き落とし日に遅滞なく支払っていれば有効期限前に自動更新され、新しいカードが届きます。しかし、何らかの問題があった場合には、更新の審査に通らずカードを解約されることも。
カードの更新時の審査は普段のカード利用状況がものをいうので、日ごろから気を付けて利用しましょう。
紛失・盗難・スキミングなど、不正利用のリスクがある
クレジットカードを利用していると、紛失・盗難・スキミング(カードを偽造するために磁気データを読み取る犯罪)といった不正利用につながるリスクが出てきます。ただ、クレジットカードには紛失・盗難保険がついているものがほとんどなので、多くの場合、不正利用の際には、申請の手間はかかるものの補償を受けることができます。
ただし、暗証番号をほかの人にわかりやすいようなものに設定しているなど、利用者に落ち度があった場合には補償を受けられないこともあるので注意してください。
支払い方法によっては出費が多くなる
クレジットカードの支払い方法には1回払いのほか、2回払い、3回払い以上の分割払い、ボーナス1回払い、ボーナス2回払い、リボ払いといったものがあります。このうち1回払い、2回払い、ボーナス1回払いは手数料無料で利用できるクレジットカードがほとんどです。しかし、3回以上の分割払い、ボーナス2回払い、リボ払いは手数料がかかってきます。
リボ払いとは、月々の支払い額を5,000円や1万円など一定の金額に固定して返済していく支払い方式のことです。毎月、比較的少ない一定額を返済していくため、まとまったお金がなくても高額な買い物ができるメリットがあります。
あらかじめ支払い回数を決めて、支払い回数に応じた金利手数料との合計額を毎月少しずつ返済していく分割払いとは違い、リボ払いでは返済総額(リボ残高)に応じた金利手数料が翌月の返済総額に上乗せされていきます(元利定額残高リボルビング方式)。毎月の支払い額が低めに設定されていることと、金利手数料が先送りされていくことで、分割払いに比べて支払い回数が多くなりがちです。支払い回数が増えると、それにともなって支払う金利手数料も大きくなっていきますので、この点には十分注意が必要です。
また、金利手数料が翌月に繰りこされずに、当月の定額分に上乗せして返済していく方式(元金定額リボルビング方式)もあります。月1万円のリボ支払いで10万円を返済する想定で、2つの方式を表にしてみました。金利手数料は、多くのカード会社が採用している15%で計算しています。
元利定額残高リボルビング方式による支払い例
(毎月の元金返済額と金利手数料の合計が定額)
返済回数 | 元金返済額 | 手数料 | 返済合計金額 | リボ残高 |
1ヶ月目 | 8,750 | 1,250 | 10,000 | 91,250 |
2ヶ月目 | 8,860 | 1,140 | 10,000 | 82,390 |
3ヶ月目 | 8,971 | 1,029 | 10,000 | 73,419 |
4ヶ月目 | 9,083 | 917 | 10,000 | 64,336 |
5ヶ月目 | 9,196 | 804 | 10,000 | 55,140 |
6ヶ月目 | 9,311 | 689 | 10,000 | 45,829 |
7ヶ月目 | 9,428 | 572 | 10,000 | 36,401 |
8ヶ月目 | 9,545 | 455 | 10,000 | 26,856 |
9ヶ月目 | 9,665 | 335 | 10,000 | 17,191 |
10ヶ月目 | 9,786 | 214 | 10,000 | 7,405 |
11ヶ月目 | 7,405 | 92 | 7,497 | - |
合計 | 100,000 | 7,497 | 107,497 |
元金定額リボルビング方式による支払い例
(毎月の元金定額返済額に金利手数料を上乗せ)
返済回数 | 元金返済額 | 手数料 | 返済合計金額 | リボ残高 |
1ヶ月目 | 10,000 | 1,250 | 11,250 | 90,000 |
2ヶ月目 | 10,000 | 1,125 | 11,125 | 80,000 |
3ヶ月目 | 10,000 | 1,000 | 11,000 | 70,000 |
4ヶ月目 | 10,000 | 875 | 10,875 | 60,000 |
5ヶ月目 | 10,000 | 750 | 10,750 | 50,000 |
6ヶ月目 | 10,000 | 625 | 10,625 | 40,000 |
7ヶ月目 | 10,000 | 500 | 10,500 | 30,000 |
8ヶ月目 | 10,000 | 375 | 10,375 | 20,000 |
9ヶ月目 | 10,000 | 250 | 10,250 | 10,000 |
10ヶ月目 | 10,000 | 125 | 10,125 | 0 |
合計 | 100,000 | 6,875 | 106,875 |
カード会社各社はリボ払いに設定することを条件にしたキャンペーンを行うことがあるので、キャンペーンのときにはよく確認し、リボ払いの設定が条件であればキャンペーンに参加しないなり、キャンペーン後にリボ払いを解除するなりして自衛することが大切です。
また、まれにリボ払い専用カードという種類のクレジットカードがあります。こうしたカードは公式サイトの説明などで必ず「リボ払い専用カード」と記載がありますし、あまり目立たない存在なので勘違いして選ぶ可能性は低いのですが、念のため「リボ払い専用カードというものがある」ということは頭に入れておくといいでしょう。
支払いが後回しになってしまう
クレジットカード払いをすると、実際に引き落としをされるのは1~2ヶ月後になります。そのため、「クレジットカードは借金だから嫌だ」と思う人も一定数います。
また、慣れてしまえば問題はないのですが、「クレジットカードを利用すると家計簿の記入が面倒だ」という人もいます。家計簿の記入方法としては、「クレジットカードを使った日に使った分を記入、通帳の残高は実際の残高とクレジットカード引き落とし後の残高を記入しておく」「引き落としの日にまとめて記入する」などさまざまなやり方があるので、自分が把握しやすいように記入するといいでしょう。
よくある質問
クレジットカードって何?
クレジットカードとは、後払いができるカードのことです。コンビニやスーパーでのショッピングのみならず、オンラインショッピング、水道や光熱費等の公共料金、税金など幅広いシーンで支払いに利用できます。現金を持っていなくても買い物ができたり、支払いをするたびにポイントが貯まったり、海外旅行保険が付帯したりと便利でお得なカードです。
クレジットカードの支払方法は?
クレジットカードには、状況に応じて複数の支払方法が用意されています。支払方法としては主に「1回払い」、「2回払い」、「ボーナス一括払い」、「ボーナス2回払い」、「分割払い」、「リボ払い」があります。
クレジットカードの国際ブランドって何?代表的な4つの国際ブランドについて
国際ブランドとは、世界中で利用できる決済システムを提供するブランドのこと。国際ブランドがカードに付いている場合、そのブランドに加盟している店舗なら世界中どこでもカード決済が可能です。国際ブランドは複数ありますが、なかでも「American Express」、「VISA」、「Mastercard」、「JCB」については、よく耳にしたことがあるのではないでしょうか?これらの国際ブランドは、世界的な知名度と確かなブランド力を持っています。
クレジットカードのランクとは?
クレジットカードにはランクがあります。主に一般カードとステータスカードに分けられ、ランクとしてはステータスカードのほうが上です。ランクが高いほど年会費は高くなり、審査も厳しくなりますが、ランクが高いほどその分ステータスも高くなり、サービスや特典の内容が充実します。
クレジットカードは何枚持つべき?
クレジットカードを複数枚持っていれば、一方のカードでは受けられない特典を、もう一方のカードで受けることができます。1枚を日常的に使うクレジットカードにして、もう1枚を特定のサービスでポイント還元率が上がったり、提携先の商品が割引になったりするカードにすれば、1枚ではカバーできないさまざまなサービスを利用することが可能になります。枚数は2枚~3枚持つのがおすすめです。実際に、2019年に日本クレジット協会が実施した調査によると、日本人1人あたりのクレジットカード平均保有枚数は2.7枚というデータが出ています。
クレジットカードでキャッシュレス生活の第一歩を踏み出そう!
ここでは、クレジットカードの仕組みから、メリット・デメリット、ポイントの貯め方、クレジットカードの選び方、おすすめのクレジットカードまで、幅広く見てきました。
クレジットカードは現金と比べて、スムーズな支払いができるだけでなく、ポイント・マイルが貯まる、保険が付く、優待特典が利用できるなど多数のメリットがあります。
もし、今回、紹介したカードのなかでどれを選べばよいか迷った時は、まずは初心者向けのカードとして、セゾンパール・アメリカン・エキスプレス(R)・カードをご検討ください。年会費を抑えながら、豊富なサービスを利用することができます。
キャッシュレス化の波が押し寄せている現代。その流れに乗り遅れないよう、今のうちにまずはクレジットカードからキャッシュレス生活の第一歩を踏み出してみましょう。