債務整理をしてどれくらいの期間ブラックリストに載るの?」
「ブラックリストは生活にどう影響する?」
「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった債務整理をすると必ずブラックリストに載り、クレジットカードの利用やローンなど一切の借り入れができなくなります。
だからといって債務整理を諦めるのは早いです。
ブラックリストには期限があり、期間中も工夫すれば生活への影響を最低限にすることもできます。
この記事では、ブラックリストに載ることが不安な方に、生活への影響や対処法について紹介していきます。
自分の信用情報を傷つけないために、気を付けたいポイント
【いわゆる、ブラックリストとは?】 審査に通らなかった経験がある方は、自分は「ブラックリスト」に載ってるのか?と、考えたことがあるかも知れません。 俗にいうブラックリストとは、以下の状態の場合、信用情報機関に「返済能力が無い人」と 登録されることを言います。ブラックリストに載ると、限りなく100%に近い確率で、審査に通らなくなります。
<5年以内>
● 無断で、61日以上、または3ヶ月以上の返済遅延をした。
● 長期または複数回の延滞によって、強制的に解約をされた。
● 任意整理を行った。
<10年以内>
● 自己破産を行った。
5年、または10年経てば、ブラックリストから情報は無くなるとも言えますが、自分で消すことはできません。少なくとも、ものすごく厳しい判断基準からは外れる、というニュアンスの方ががしっくりくるかも知れません。 また、共有される信用情報からは外れるかもしれませんが、各社が保有する「社内リスト」から完全に外れることはできません。 例えば、A社で悪質な返済遅延事故があった場合、5年以上経てばB社で契約をすることが出来るかも知れませんが、5年経ったからと言って、再びA社で何事も無かったかのように審査をしてくれるわけではない、ということです。
万が一、返済遅延をしてしまったら…
個人のクレジットカード履歴は、信用情報機関に2年間保管されます。ついうっかり引き落としを忘れた場合でも、記録としては2年間残る、ということです。 即刻ブラックリストに載るわけでは無いとは言っても、短期間で複数回続けば、クレジットカード会社の心象はネガティブです。 そんな時は、クレジットカード会社からの連絡を待たずに、早めに連絡を入れることが大切です。 引き落とし日の変更や、振り込みで支払ができる場合もありますし、再引き落としの日付確認をするだけでも大事な事と言えるでしょう。
意外と落とし穴!?携帯電話代の延滞
携帯電話代金の長期遅延をすると信用情報に傷がつく、と聞いたことがある方も多いと思いますが、それにはどんな仕組みが絡んでいるのかご存じでしょうか。 通話料金=クレジット(ある種の借金)とはイメージしにくいかも知れませんが、特定の条件下では、信用情報機関に情報共有されます。 それは、携帯電話本体代金の分割払いが行われている場合です。ここで注意が必要なのは、契約時点で明確に、本体代金〇〇円で何か月分割支払いをする場合だけではなく、本体代金 実質0円という謳い文句で、後々の携帯電話使用料の中に、実は本体代金の分割分も含まれていて、「電話本体を購入した」という意識が希薄な場合がある、ということです。 通常、61日以上の遅延をしてしまうと信用情報機関に記録が残ってしまいます。そのため、クレジットカードを持ったことが無い人でも、ブラックリスト入りをする危険性を含んでいます。
苦学生を救う「奨学金制度」も、借金です
経済的な理由で学業を全うすることが困難な学生を救う制度が奨学金ですが、借りたものは返さなければ、今後の人生に不利益が生じます。一般的には、返済期限を3か月放置すると返済意思が無いと見做され、信用情報機関に情報が登録されてしまいます。
新規カードの申し込み回数/短期間での複数回退会
日本クレジット協会の調査では、2019年国民1人当たりの保有カード枚数の平均は2.7枚と報告されました。普段使いのカードの他にも、特典やポイントを上手く取り入れるために使い分けることは、非常に効果的なことと言えます。 一方で、あまりにも頻繁に新規カードの申し込みをしたり、短期間で何度も退会をすると、クレジットカード会社側で不利益な情報共有をされる場合があります。頻繁に新規申込みを行う場合では、不正利用を疑われたり、どうしてもお金をかき集める必要のある人、と見做されてしまう恐れがあります。 また短期的な解約では、入会時の特典目当てだけでカードを使う意思のない人、と思われてしまう可能性があります。 明確な基準はありませんが、半年の間で3回以上、入会や退会を繰り返すと、今後の入会審査に厳しいジャッジが下されるかも知れません。
債務整理をすると「ブラックリスト」に登録される
そもそもブラックリストとは?
実際には「ブラックリスト」などというものは存在しておらず、個人信用情報機関に事故情報が登録された状態をいいます。
- 個人信用情報機関とは
- 個人の信用情報(本人の属性、クレジットカードやキャッシングの契約状況、借入・返済などの取引状況など)を管理している機関。主にクレジットカード会社や貸金業者が申込者を審査する際に、信用できるかどうかを判断するために利用されています。
日本には個人信用情報期間は3つあり、クレジットカード会社や消費者金融、銀行など金融機関は、必ずいずれかに加盟しています。
個人信用情報機関名 主な加盟業種 日本信用情報機構(JICC) 消費者金融/クレジットカード会社 シーアイシー(CIC) 信販会社/クレジットカード会社 全国銀行個人信用情報センター(KSC) 全国の銀行
個人信用情報機関に事故情報が登録されている間はクレジットカードやキャッシングの利用ができません。さらに10年間は金融機関から住宅ローンなどの融資を受けられなくなります。
しかし、各信用情報機関は情報の保有期間を決めているため、一定期間たつとブラックリストは解除されます。
債務整理のブラックリスト登録期間は何年?
債務整理をするとブラックリストに載るとはいえ、手続きの種類によって登録期間は異なります。
また個人信用情報機関によっても期間は異なり、5~10年が登録期間です。
個人信用情報機関名 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
---|---|---|---|
JICC | 5年 | 5年 | 5年 |
CIC | 5年 | 5年 | 5年 |
KSC | 5年 | 10年 | 10年 |
ブラックリストは、「借金の返済を滞納した」「クレジットカードの審査に落ちた」場合も登録されます。
任意整理と個人再生は手続きが終了しても返済は続くので、手続き後の返済が滞るとまた新たに事故情報が登録されるので注意してください。
いつからブラックリストに登録される?
いつからブラックリストに載るのか?については以下のとおりです。
任意整理 | 和解が成立した日(債権者が複数の場合は、最後に和解した業者) |
---|---|
個人再生 | 再生手続き開始決定日 |
自己破産 | 免責許可確定日 |
ただし、個人信用情報機関に事故情報の登録依頼をするのは貸金業者です。
たとえば任意整理の場合、貸金業者によっては「任意整理後の返済も事故の一部」として登録依頼をするケースもあります。
そのため期間が経過したからといって、必ずしもすぐにクレジットカードが作れるわけではありません。
審査に落ちて再度ブラックリストに載らないためにも、発行する前に自身の登録状況は確認すべきでしょう。
ブラックリストの確認方法は?
あなたが現在ブラックリストに登録されているかどうかは、各機関に問い合わせれば確認できます。 確認方法は以下のとおりです。
機関名 | 信用情報の開示方法 |
---|---|
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 窓口・郵送・携帯電話 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 窓口・郵送・パソコン・携帯電話 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 郵送のみ |
ちなみに信用情報機関は、金銭と引き換えに登録内容を書き換えることは決してありません。
「お金を払えばブラックリストを解除します」といった詐欺に絶対にひっかからないようにしましょう。
ブラックリストに載るとどうなる?5つの影響と対処法
ブラックリストの影響について、考えられるケースは以下の5つです。
- クレジットカードが利用できない
- ローンやキャッシングなど新たな借り入れができない
- 携帯電話・スマホの分割払いができない
- 賃貸住宅に契約できない場合がある
- 子供の奨学金の保証人になれない
それぞれ詳しく解説していくとともに、対処法についても紹介していきます。
1.クレジットカードが利用できない
ブラックリストに登録される最大のデメリットは、クレジットカードが作れなくなることでしょう。
インターネットや広告で「ブラックリストに載っていてもクレジットカードは作れます」といったものを見かけますが、これらは確証がないものばかりです。
うっかり申し込んで審査に落ちると、新たに事故情報が登録され、さらに登録解除までの期間が長くなりますので、おすすめできません。
現在使用しているクレジットカードはどうなる?
任意整理前までに使用しているクレジットカードについても、いずれ使用できなくなります。
使用できなくなるタイミングについては、カード会社ごとに異なります。
しかし、更新時にカード会社は再度、与信審査を行うのでカード有効期限が迫ったら使えなくなると考えておきましょう。
使えなくなったら代わりのカードを使おう!
任意整理したからといって、クレジットカードが使えないのは何かと不便です。
ただし、クレジットカードではなくても同じように使えるカードであれば発行可能です。
クレジットカードの代わりになりえるカードとしては以下の3つがあります。
デビットカード
使用と同時に銀行の預金口座からお金が引き落とされるので、カード会社にリスクはありません。そのため、入会時の審査不要です。
クレジットカード同様に、VISAやJCBなど搭載している契約店であればどこでも使用でき、見た目も変わらないので違和感がありません。
家族カード
家族カードは、クレジットカードの主契約者の信用によってその家族も利用できるカードです。
たとえば夫が任意整理をしたとしても妻が主契約の家族カードであれば、妻の信用次第で利用可能です。
プリペイドカード
プリペイドカードは、事前に現金をカードに現金をチャージしておけば、チャージ金額分は自由に利用できる前払い式のカードです。
プリペイドカードもクレジットカードの一種のため、違和感がありません。
2.ローンやキャッシングなど新たな借り入れができない
ブラックリストに載ると、ローンやキャッシングなど一切の借金ができなくなります。
しかし借金ができないことがデメリットかというとそうではありません。
債務整理を検討している人の中には「無計画にキャッシングを利用し、気づいたら返済できなくなった」という人もいるかと思います。
不便に思われるかもしれませんが、自分の身の丈に合った収入での生活を身につけていく機会になるとも考えられます。
ちなみに「ブラックリスト期間中でもお金を貸します」と勧誘するのは、ほぼ間違いなく違法なヤミ金融業者ですので、くれぐれも利用しないようにしましょう。
ブラックリストが解除されてすぐに住宅ローンを組むには
住宅ローンのような高額ローンの場合、個人信用情報期間から事故情報が消えても審査が通らない場合があります。
少しでもローン契約の成功率をアップさせるには、頭金の金額も重要です。
ブラックリストの情報が消える前からコツコツ貯蓄をしておけば、ローン審査もおのずととおりやすくなるでしょう。
結婚や出産などでどうしても急にお金が必要な場合は?
緊急でお金が必要になったときは、「緊急小口貸付制度」を申し込むという方法があります。
緊急小口貸付制度は、市区町村の役所に申し込み、申請が通れば無利子で10万円を限度として借りることができます。
3.携帯電話・スマホの分割払いができない
ブラックリストの盲点として、携帯電話やスマホ購入時に分割払いができなくなることです。
端末の分割料金は毎月の利用料金と一緒に支払われるため見落としがちですが、分割払いも一種のローンです。
申し込みする際は信用情報登録機関に照会されるので、審査が通らない可能性があります。
どうしても機種を交換したい場合は、一括払いにするか少し古い機種を購入しましょう。
携帯電話やスマホは、旧機種であれば価格がぐっと下がり、一括購入しやすくなります。
また、格安スマホ会社に乗り換えれば月々の利用料も格段に下がるので、検討してはいかがでしょうか。
4.賃貸住宅に契約できない場合がある
賃貸物件の入居審査でブラックリスト情報が問われるケースはほとんどないといっていいでしょう。
ただしそれほど多くはありませんが、賃貸住宅の中には家賃保証会社との契約を義務付けている場合があります。
家賃保証会社とは簡単にいうと、あなたの保証人になってくれる会社です。
賃貸物件の中には貸金業者が家賃保証会社になっているの場合もあります。
この場合、入居審査で信用情報を確認される可能性があるため、断られるケースがあります。
対処法としては、あらかじめ不動産会社に「家賃保証会社はどの会社か?」聞いておくといいでしょう。
5.子供の奨学金の保証人になれない
ブラックリスト状態になると、奨学金の保証人になれなくなります。借金の契約をする際は保証人も審査対象になるためです。
たとえばあなたの子供が奨学金を受給する場合、あなたは保証人になれません。
対処法としては、たとえば配偶者など家族内の別の人であれば問題ありません。
また機関保証制度といって保証機関が保証人になってくれる制度を利用してみてもいいでしょう。
ほかにも一般的に「ブラックリストが何かしら影響が与えるのでは?」と考えられているものとしては、以下ようなのケースです。
- 生命保険などの保険契約
- 結婚
- 戸籍
- パスポート
ブラックリストに載ったとしても、これら借金に関係ないものは一切影響ありませんので、安心してください。
ブラックリストを怖れて債務整理しないとどうなる?
ブラックリストへの対処法はいくつかあるものの、不便を感じる場面もあるでしょう。
しかし、ブラックリストに載るのは、任意整理などの債務整理をした時だけではありません。
借金やクレジットカードの支払いを滞納しすぎたり、多重債務に陥った場合なども、事故情報として登録されます。
そのため、「ブラックリストが怖いから」といって借金問題の解決をためらっても、返済が不可能な状態に陥れば、いずれにせよブラックリストに掲載されてしまいます。
そればかりかさらに借金の滞納を続けると、貸金業者などの債権者から「強制執行による差し押さえ」されると、自己破産以外に解決方法はありません。
借金の問題は早めに解決するのが得策。あなたが今、毎月の返済が苦しく滞納しがちな状態であれば、早めに弁護士に相談しましょう。